化粧品業界裏話

【気になる雑学】化粧品の広告ができるまで【雑誌タイアップ編】

タイアップ

こんにちは。美容ブロガー&ライターの頼 凜々華です。


今日は化粧品好きならだれもが一度は目にしたことのある「化粧品の広告」について語ります。


広告の媒体も種類も様々なものがありますが、中でも一番想像しやすい「雑誌」の「タイアップ広告」について語りたいと思います。


雑誌タイアップ広告って?

よく、美的やMAQUIA、VOCEなどの美容雑誌を見ていると、商品の紹介ページがあり、その最後の最下段に「提供:○○(化粧品メーカー名)」などと記載された記事が見つかります。


これらはすべて、タイアップ型の広告ページであり、出版社と化粧品メーカーが協力して作る記事広告です。

化粧品メーカーの商品を、出版社の編集部がその雑誌のテイストや切り口で訴求するタイプの、一見すると広告だとわからないような広告。

これが雑誌タイアップ広告です。


まず、広告枠を買います。

その雑誌の人気や掲載位置によって、広告枠の値段は異なります。


例えば、出版社側が

「見開き2ページのタイアップ広告・掲載位置不問であれば500万円」のような形で、売り出す広告枠を作ります。


それを広告代理店が500万円で購入し、自分たちの取り分として手数料を上乗せして化粧品メーカーに600万円で売り、化粧品メーカーは600万円を広告代理店に支払って、広告枠を買います。


こうして晴れて化粧品メーカーが広告枠を購入したところから雑誌タイアップ広告の制作ははじまります。


※価格は架空のものです。

どんな商品を、どんな人に売りたいか決めます。

例えば夏の新商品として、泥パックを発売することが決まっているとします。

これを脂性肌の20~30代女性に買ってもらいたい、とします。



これをどのように広告に落とし込み、購入まで至らしめるかということを、化粧品メーカー側の分析や要望を踏まえて、

化粧品メーカーが出版社に伝えます。それが「オリエン」です。



化粧品メーカー側の「オリエン」が実施されます。




オリエンでは、化粧品メーカー側が今回掲載したい商品や、訴求したいターゲットについて、出版社側の制作チームに説明をします。


制作チームのメンバーは編集者やライターが中心で、出版社の社員さんの場合も、外部編集者・外部ライターさんの場合もあります。


新しい泥パックの成分はどんなものか。

価格や容量は?他社より優れたポイントは?

商品ができるまでに苦労したことは?


など、様々な切り口で、商品説明をして、制作チームのイマジネーションを広げていきます。


出版社側の制作チームは、最近の雑誌読者の傾向や編集部内での流行などについて化粧品メーカーに情報共有を行い、逆に化粧品メーカーに制作で使用できる素材(成分の写真など)について確認をし、次回「ラフ」を提出することを約束して解散します。


制作チームから「ラフ」が提出されます。

オリエンをもとに、制作チームから「ラフ」が提出されます。

これは、広告ページに大まかに掲載する内容を配置した手書き等のスケッチで、これを設計図として撮影や文章の執筆を行い、詳細な広告紙面の作成に取り掛かります。


気になる点がある場合はこの時点で極力つぶしておき、お互いの目線を合わせておくことが必要です。


モデルや商品の撮影をします。

モデル撮影と商品撮影は、同じ撮影ではありますが、得意とするカメラマンさんが異なっていることが多く、別々に行われることが多いです。


ラフの内容に沿ってそれぞれ撮影し、出来上がった写真を確認し化粧品メーカー側のOKが出れば終了です。


化粧品メーカー側はこの撮影に立ち合い、細かい点のチェック(例えば、商品パッケージに傷がないか、モデルの商品使用方法はあっているか、など)を立ち会って確認します。


制作チームから「カンプ」が提出されます。

撮影で撮ったモデルや商品の写真と、広告ページの文章、それらのレイアウトの3点を合わせたものをカンプと呼びます。(3点セットと呼ぶこともあります。)


制作チームが作ったカンプが化粧品メーカー側に送られてくるので、それを見て、化粧品メーカーの担当者は誤字脱字のチェックやレイアウトの変更依頼などを書き加え、制作チーム側に戻します。


ここで大事なのは薬機法や景表法といった、化粧品の広告周りで重要になってくる法律関係のチェックです。


化粧品メーカーの専門の部署にカンプを回覧し、法律的な視点からも、内容に問題がないかどうかをチェックします。


制作チームから「初校」が提出されます。

カンプの修正を反映させて実際の雑誌の紙に印刷をした「初校」が制作チーム側から提出されます。


これを前回の「カンプ」で依頼したとおりに修正されているかどうかを確認し、さらに印刷された色味に問題がないかを確認します。


色味が実際の容器と合っているかどうかを慎重に見比べ、合わないものには「色見本」を付けるなどして修正を依頼します。


制作チームから「再校」が提出されます。

「初校」の修正依頼内容が反映されたものが「再校」になります。修正がきちんと反映されているか、色味が合っているかを確認し、追加で修正が必要な場合は「三校」「四校」・・と続いていきます。


修正が必要ない場合は「校了」となり、あとは雑誌の発売日を待つだけになります。


色味がどうしても合わない場合・・・「刷り出し立ち合い」をします。

化粧品、特にメイク品は色味が実物ときちんとあっているかが非常に重要になってきます。ギリギリまで調整して、

どうしても色味が合わない場合や不安がある場合、実物の商品を持参して、印刷所で実際の印刷オペレーターさんに調整をお願いする場合があります。


これを「刷り出し立ち合い」といいます。


早朝や深夜になることも多く、私は過去にクリスマスパーティーを中抜けして刷り出し立ち合いに行ったことがあります(もちろんドレスで・・。)


出来上がりの見本が届きます。

無事に印刷まで終了し、発売日の少し前になると、出版社から「見本誌」が届きます。


見本誌とは言っても、実際に刷られたものの一部なので、これが完成品ということになります。見本誌を手にとって該当ページを開くまで毎回ドキドキです。


問題なく印刷されていれば、広告代理店を経由して出版社側にお礼をし、一件落着となるのです。


まとめ

ここまでが、化粧品の雑誌タイアップ広告制作の流れになります。



ほかの業界の広告と大きく違うであろう点は、やはり「色」へのこだわりです。


化粧品、とくにメイク品の色味は購入意欲を掻き立てる最大のポイントなので、こだわりにこだわって、印刷所さん泣かせなことも多々ありました。


制作チーム、印刷所、広告代理店。様々なプロフェッショナル達の力を借りて、タイアップ広告は出来上がっているのです。


普段何気なく見ている化粧品の広告が、こんなふうにできてるんだ、と知って、より一層楽しんでもらえれば幸いです。

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